【15分ぶろぐ 51日目】”規格外野菜”を主軸にしたサービスをやらない理由のお話
最近、フードロス、特に規格外野菜に関しての取り組みだったり、ニュースが多いですね
僕は”規格外”って言葉が大っ嫌いです笑
区別している言葉ではなく、差別している言葉にすら聞こえてくるんですよね。
個性あって、ばりうまいし、農家さんの物語がぎゅっと詰まっているお野菜やぞ!
なに勝手にはじいとんじゃって思うからです。
すみません、話が脱線しました笑
「無駄になってしまうものに注目がいく」
という点でこのような取り組みが増えていくことはいいことだと思いますし、
新しい消費や流通の形が出てくることで変えられることもあるかと思います。
世間の目を向ける
日々の生活をちょっと違う視点で見てみる
という点においてとても有意義だと思うのですが、
継続して働きかけることが何よりも問題解決には重要だとも思っています。
一回の啓発では
一人の日常生活を変えるまでは至らないですし、
世間を変えるとなると言うまでもない感じです。
”継続”があって、”発展”、その次に”変化”
その逆は成り立たない、そんなシンプルなことかなと思っています。
そして、資本主義で回っているこの世界を変えていくとなると
一番効率的な手法がビジネスで表現していくことだと感じています。
フードロスや規格外野菜をなくすという目的を掲げるにしても
ちゃんとビジネスとして回し、継続的にかつ発展的に人々の生活に働きかけてこそ本当の意味で課題解決になるんだと思います。
本題ですが、それを実行するためには、
”規格外野菜”に焦点を当てたビジネスはうまくいかない
と現場経験から思っています。
正確にいうと、
規格外野菜販売を主軸にしたサービスはあまりうまくいかない、
うまくいったとしても軌道に乗るまで時間がかかる
と思っています。
というのも、
1:単価の天井が低いところからのスタートでそれ以降も上がりづらい
2:収益化させるには規模の経済を働かせる必要があるが、そもそも”規格外”は量が読めない・少ない故に流通の非効率や固定費の圧迫がでかくのしかかる
3:拡大させていくほどに”人手”が必要な労働集約型のビジネス形態になりがちで、人件費の圧迫が大きくなる
4:農家さんはそこの解決を求めていないケースが多い
があるな〜と感じているからです。
一個一個簡単に見ていきます。
1:単価の天井が低いところからのスタートでそれ以降も上がりづらい
”規格外野菜”として押し出した時に、お客様はどんなイメージを持たれるでしょうか?
おそらく
「スーパーで買うよりも安い」
が大半なのではないかなと思います。
ある種、これはサービスに寄せられたお客様の”期待値”です。
この期待値を悪い意味で裏切ってしまうと、サービスとしては”死”です。
期待値が価格の安さに向いてしまうと、
一旦お客様の数は拡大できるかもしれませんが、それ以降で単価をあげることは相当困難になってきます。
お客様からすると、その企業のサービス=お手頃価格 のブランドイメージなので
そもそもその企業に対して持っている予算は少ないです。
無い予算を拡大させることは、こちらのコントロールできる範囲を超えているのでなかなかできることではないですよね。
つまり、野菜販売以降の事業展開の幅を自分で狭くしてしまうことになるので
僕はやっていないです。
2:収益化させるには規模の経済を働かせる必要があるが、そもそも”規格外”は量が読めない・少ない故に流通の非効率や固定費の圧迫がでかくのしかかる
じゃあ、コストを減らすのってどうなんやろと思ったんですが、
ここにもまた大きなハードルがあります。
コストって何がかかるのかっていうと、
輸送費、人件費、店舗代、野菜品質管理費などが大きくかかってきます。
サービスの規模を大きくさせつつもこれらのコストをダウンさせていくとなった時に
輸送費は規模の経済が働きやすく、扱う野菜量を拡大させていくことである程度効率的になっていきます。
しかし、ここにまず問題があります。
”規格外野菜を狙って作っている農家さんはいない”
”天候不順など不確実性の高い予測不能な事象に収量が極端に左右される”
つまり、収量が確保しづらい・読めないといことですね。
サービス規模を大きくした時に
それに必要とされるお野菜量を確保しようとすると
輸送ルートが複数に渡ったり、県外にまでいったりすることとなり、
結果輸送費の、利益に対しての圧迫量が大きくなってしまい、あんまり規模の経済のメリットが働かないと思っています。
3:拡大させていくほどに”人手”が必要な労働集約型のビジネス形態になりがちで、ただでさえ利幅が小さい野菜販売には人件費の圧迫が大きくなる
加えて野菜販売を拡大させていくと
どうしても”人手”が必要になってきます。
品質を見極めることはもちろんですが、
規格外野菜を扱うとなるとその背景や物語が固有の価値なので
そこをわかりやすく伝える主体としても人の存在は無視できません。
・野菜を運ぶ
・野菜を詰める
・野菜の管理をする
・店舗を運営する
のあたりの主要業務はどちらかというと肉体労働の色が強く、
蓄積されたナレッジを効かせる幅が小さいです。
そもそも利幅の少ないビジネス形態が野菜の小売販売なので
多くの人を雇う、他のIT企業並みに十分な賃金を支払う
ってことはできなくはないですが、
他のサービスよりも圧迫が大きいなと感じています。
また、今の時代、人手が欲しい企業はたくさんありますし、
働き方は多様になっていますよね。
売り手市場で、かつ働き手はフラ〜っといろんな仕事の選択肢を楽しめるので
雇用する側としては
”自分のところで働くということがあなたの人生や生活にどんな意義があるのか”
という、働くということの本質により踏み込んで表現し続けなくてはいけないとも感じています。
4:農家さんはそこの解決を求めていないケースが多い
これはよく盲点になることで、
僕が規格外野菜を主軸にして扱うことを選択していないのに一番大事にしている理由です。
ほんまに農家さんはお野菜の無駄をなくすことを求めているのか?
ということです。
農家さんの共感がなければいくらお客さんがついてもお野菜のやりとりができないので意味がないと思っています。
「もちろん解決できた方がいい!」
と農家さんも感じていると思いますが、
現場には解決したい問題がたくさんありすぎるのです。
畑の現場を知らない人間はそこの問題を無視する、もしくは知らないので
山積する問題の中から自分勝手な妄想で”重要度”を上げて解決しようと動くのです。
農家さん側からすると
全く的外れではないからこそ関わり方が難しくなるのではないかと感じています。
これは自戒の念も込めてです。
僕自身もまだまだ畑の現場を知らないです。
もっともっと農家さんの話を聞き、畑に行き、学び続け、農家さんにとって必要な存在になりたいですし、絶対にならなあかんと日々感じています。
と。
ばーっと書いてきましたが、全てがまだまだ僕の中でも仮説です。
日々のお野菜との関わり、農家さんとの関わり、お客様との関わりの中で
しっかり見つめて、見つめ続けたいと思っています。
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